チャイコフスキー:四季 Op.37.bis より 6 月「舟歌」
解説
この曲は、音楽雑誌の企画依頼で、1875年~1876年チャイコフスキーによって作曲された、ロシアの一年の風物を各月ごとに12のピアノ曲で描写した作品集『四季』の、六月の曲として納められています。この六月は、ロシアの詩人であるプレシシェーエフが書いた「季節の詩」をもとに作曲されました。穏やかな伴奏の上で、とてもゆったりとした、音階の順次進行をベースとした、どこか悲しげな旋律が奏でられます。中間部では、同主長調に転調し、明るい曲想になりますが、アルペジョで駆け上ったあと、また再び初めの物悲しい旋律が歌われ、静かに終わります。この曲は、曲集の中でも、11月『トロイカ』と並んで、有名な作品になっています。
執筆者:河野百花