シューマン:ピアノソナタ 第 2 番ト短調 Op.22 より第 1 楽章
解説
シューマンは幼い頃より音楽への非凡な才能を示し、当然音楽の道へ進むものと思われていましたが、父親亡き後の家を支えるため、いったんは法科大学へ入学します。しかし、ピアニストになる夢を諦めきれなかった彼は猛練習を重ね、その名を揚げていきました。ところが、無理な練習のせいか右手を故障し、ピアニストとしての人生を閉ざされてしまうのです。その後、作曲家として大成するシューマンですが、やはり彼の心にはピアノがありました。この作品は感情的なシューマンにしては珍しく、細心の注意を払って作曲されたと言われており、古典的な構成と鮮やかなピアニズムの共存に、シューマンのピアニストとしての矜持を見ることができます。
執筆者:山本大地