1級

ハイドン:ピアノソナタ 第 62 番変ホ長調 Hob.XVI.52 より第 1 楽章

解説

この作品は、ハイドンが1794年にロンドンに赴いた際に作曲された、3曲のソナタのうちの一つと言われています。これらはハイドンによる鍵盤ソナタの最後の3曲ですが、それぞれ違った傾向を示しており、彼の作品スタイルの多様さを象徴するかのようです。ハイドンの鍵盤楽曲の集大成の一端とも言えるでしょう。この楽曲の特徴は和声法の斬新さにあり、一楽章の展開部では、目まぐるしい転調と素早い動きのパッセージが楽曲に華やかさをもたらしています。また、予測しがたい展開が多くの箇所に仕掛けられており、ユーモアに溢れていたと伝えられるハイドンの性格が現れているようにも聴こえます。

執筆者:山本大地

参考演奏

冒頭譜例