シューマン=リスト:献呈
解説
この作品は、シューマンの歌曲集「ミルテの花」の第1曲、「献呈Widmung」を、リストがピアノ用に編曲したものです。全26曲からなる「ミルテの花」は、ゲーテやリュッケルトなど、複数の詩人の作から歌詞をとっており、全体に抒情的で、恋愛を歌ったものになっています。というのも、この頃シューマンは、のちの妻であるクララと熱烈な恋愛関係にあったのです。この「献呈」も恋人をしたい焦がれる熱烈な気持ちを歌ったもので、日本語では「君に捧ぐ」と訳されることもあります。このリストによる編曲版も、原曲の分散和音的な伴奏をより情熱的に、ピアノによる旋律へ昇華させているように思えます。
執筆者:山本大地