メンデルスゾーン:ベネチアの舟唄(無言歌集より) Op.30-6
解説
《無言歌集》は、ロマン派の時代に絶大な人気を博し、当時の音楽全般、さらにはその後の音楽史にも多大な影響を及ぼしました。ですが、最初の無言歌がいつ、どのように誕生したのかは不明です。姉のファニーは、友人宛の手紙の中で、誕生日に弟からプレゼントされたピアノ曲を「無言歌(言葉のない歌)」と呼んでいる一方で、メンデルスゾーン自身は、自筆譜に「歌」とだけ書き込んでいました。ファニーの「言葉のない」という注釈は、友人への説明のために用いられたに過ぎず、彼女もメンデルスゾーンも曲の名称として意識していませんでしたが、後にドイツとフランスで出版された時に、初めて「無言歌」という名称が用いられました。
執筆者:小橋優里