リスト:巡礼の年 第 3 年より「エステ荘の噴水」
解説
全26曲からなるピアノ小品集「巡礼の年」は、リストがスイスとイタリアへ赴いた際の印象を音楽で表したものです。このうち、第1年、第2年補遺は風景を、第2年はイタリアの芸術を題材にとっていますが、この第3年は題材を自由に選んでおり、やや寄せ集めのような印象を受けます。実際、他の3つと比べると演奏機会も少ないようです。しかし、この作品は、ラヴェルの「水の戯れ」、ドビュッシーの「水の反映」に影響を与えたと言われており、歴史的に重要な作品であると言えます。ちなみにエステ荘とは、演奏活動を退き僧となったリストが余生を過ごした場所であり、イタリア一美しい噴水庭園として世界遺産にも登録されています。
執筆者:山本大地