5級

ヘンデル:ファンタジア ハ長調

解説

「ファンタジア」とは、もともとルネサンス時代に「作曲家の想像力と技量から」(Luis de Milan 1535)生み出された器楽作品を指す呼称であり、日本語では幻想曲とも訳されます。当時、音楽は感情に働きかけるものとして声楽曲が重視されていました。その中で、歌詞を用いず、つまり感情の言語化を経ずに、作曲家の創造力が赴くままに書かれた楽曲がファンタジアと呼ばれたのです。この精神は18世紀のバロック音楽においても受け継がれ、J.S.バッハの息子であるC.P.E.バッハなどが、主要なファンタジアの楽曲を残しています。ヘンデルによるファンタジアは現在ただ一曲のみが知られており、ピアノ学習における主要なレパートリーの一つにもなっています。

執筆者:山本大地

参考演奏