ショパン:ポロネーズ 第 6 番「英雄」Op.53
解説
ポロネーズとは、フランス語で「ポーランド風」を意味する三拍子の音楽、時には舞曲を指し、元は貴族が行進する際の音楽であったようです。最初、ポロネーズには歌詞がつけられており、それらはやがて、ポーランド国⺠の愛国心に訴えかける内容を持つようになりました。しかし、ショパンが生きた時代、ポロネーズはすでに、単なる楽曲の名称以上の意味を持たないものになっていました。そのような中で書かれたこの作品には、まさにポロネーズから忘れられていた愛国心が表れています。「英雄」の名がいつ、誰によってつけられたのかは不明ですが、ポーランドの栄光を讃えるかのような楽想に相応しい題であるように思えます。
執筆者:山本大地