ドビュッシー:子供の領分より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
解説
ドビュッシーが残した言葉の中に、ムソルグスキーの『子供部屋』の評価や、ドビュッシー自身の心の奥底にある優しさを垣間見ることができます。そんなドビュッシーは《子供の領分》を1909年に作曲しました。当時5歳の娘のために作曲したと言われています。ツェルニーやクレメンティ式のピアノ練習曲を、可愛らしく戯画化しています。「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」は、子供が練習曲に初めは熱中するものの、脱線して物思いにふけ、すぐ練習に戻りながらも、だんだんと飽き飽きしてゆっくりになっている、といった子供の様子が表現されています。
執筆者:宮崎結希