ショパン:練習曲 Op.25-11「木枯らし」
解説
ショパンの練習曲は、「練習曲」といえど非常に芸術性の高い作品であると、当時より言われていました。19世紀の指揮者であるハンス・フォン・ビューローは、この楽曲を「この曲の最も特異とする功績は、想像し得るかぎりのすばらしい音の豊かさをかもしながら、それが全然オーケストラ的ではなく完璧なる意味においてピアノ音楽であるということである。」と評しました。友人の助言により追加された序奏も、この作品により抒情性を与えています。一方で、彼の練習曲は、その難易度から「指がもつれるので演奏には外科医が必要」と評されたとも言われていますが、それは「練習曲」としての完成度の高さが逆説的に示されたものとも言えるでしょう。
執筆者:山本大地